「なー蒼空、」
後ろから聞こえた声にピクリと肩を揺らし、あたしは振り返った。
「な、何ですか……」
まだまだ寒い時期。
女の子は身体を冷やしてはいけない、と、松神先生が用意してくれた炬燵でぬくぬくと暖まる斎。
まるで自分の部屋のように寛ぐ斎に、入れたての紅茶を渡せば彼は「さんきゅー」と笑った。
「あー、暖まるなあ」
「ですね……」
炬燵に足を突っ込むと、じわり熱が広がり身体が暖まってくる。
だけどその熱よりも斎がいる左側に意識がいき、緊張して隣が見れない。
「…………お前さあ」
ずず、と紅茶を啜りながら斎が声を漏らす。
「最近、あんまり俺の目見ないよな」
不意をついたその言葉にあたしの身体は固まる。弁解する暇もなく、それが図星だと全身で示してしまった。
「え、えぇっと」
「今だってこっち見ねぇしよ。……なあ、俺のこと見ろよ」
横から伸びた腕に肩を掴まれ、そのまま引き寄せられる。ぱふっ、と必然的にあたしは斎の胸に頭を預ける形になった。
「俺ら、付き合ってんだよな?」
「は、はい……」