あまり待たせると拗ねちゃいそうだし。あたしは簡単に用意を済ませて遥登君の元へ戻った。
「お、お待たせしました」
「んー、じゃあ行こ!」
どう考えてもいつもよりご機嫌な遥登君に連れられ、あたしは部屋を飛び出す。
あ、傘。と立て掛けてあった花柄の傘を取ろうとした手を遥登君に握られてしまった。
思わずドキッとしてしまう。
「いいよ蒼空は、傘持たなくて」
「えっ」
あたしは濡れろと?咄嗟に抗議しようとしたが、どうやら遥登君の考えてることはあたしとは違うみたいで。
あたしの手を引いて外まで出てきた遥登君はバッと勢いよく傘を開く。
「相合い傘っ!」
掴んでた手を離されたと思ったら、今度は肩を掴まれ引き寄せられた。
「わっ、遥登君……!?」
「ちゃんと入んないと濡れちゃうよ」
すげー降ってるね、なんて笑いながら遥登君は歩き出す。あたしも動揺しつつ、置いていかれないように足を踏み出した。