「あー!先輩!」




海斗は例のバスケ部の先輩を人の群れの中から見つけたらしく、私に一度視線を投げかけ、


「ちょっと待ってて。」





と、走って先輩の方へ行ってしまった。




まだ知り合ってばかりだけど、「待ってて」と言われたら待つしかない。



後ろの列を支えさせてしまわないようにと、人混みから離れた花壇の前で海斗を待つことにした。






「わぁ、綺麗なチューリップだぁ!」




なんて無意識に呟いていたら。




「ププッ」




と、誰かに笑われた…。