各学年のクラス編成の
都合に合わせて
わたしたちは最上階に
教室があったため
だいたい譲ってもらえる。

遠いところおつかれさま
ということである。
ありがたいことだ。

この沈黙の民族大移動は
ある種新興宗教のようで
不気味にも見えるが、

まわりには
荒れた学校が多い中で
うちはかなり統制が
とれていることで有名だ。

とんでもなく
荒れていた過去があるから
今がある。

学校の心地よさは
この沈黙の上に
成り立っているから、
怪しくても無下には
できないのだ。

「全校生、起立!」

「はいっ」

険しい教務主任の声に
みな焦って立ち上がる。

この、はい、の
大合唱も気持ち悪いから
嫌いなんだけど。

学級委員長はなんたって
最前列ですから。
おーきな声で返事しないと。