草食系男子の裏の顔


もう午授業の授業が始まるのに黒瀬くんは戻ってこない。


本人の鞄はあるし…保健室で寝てるのかな…。


「次数学から体育に変更だってー」


クラス委員長の子が皆に連絡をする。


数学から体育なんてラッキーだな。


「未亜行こう」


「うん」


私は真里と一緒にグラウンドへ向かった。


「体力テストかよ」


「面倒くさいね」

 
次々と批判の声が聞こえてくる。
  

数学より全然マシなのに。   


でもやっぱり黒瀬くんは来ていなかった。


走っているときに転んでしまったため


保健室まで向かう。


黒瀬くんいるかもと期待をしながら。


「外出中になってる」    


でもドアに触れたら開いていたので入ることにした。



「先生~救急セット貸してくださーい!」

  
先生の声はしないどこからか声がするので耳をすますと
  

乱れた声が聞こえてくる。


恋人同士のやるアレだよね。


なんか場所を考えてほしい。


早く出て行こうと思ったが


チラッと黒瀬くんの顔が見えてしまい


ショックで立ち止まってしまう。


「どうしたの?」


「別に」 


女の子の声と黒瀬くんの声


ショックのせいか今の方が甘い声な気がする。   


一瞬だけ目があってしまい、すぐその場から逃げ出した。


きっと一瞬だし気付かれてない。


自分のなかでそう言い聞かせた。

気になる人のあんな姿見たせいかかなり落ち込む。


もう気になる存在なんかじゃないいつの間にか好きに変わっていたんだ。


「でも黒瀬くんが学校ではそんな事しない人だと思った」


確かに彼女の1人や2人いても可笑しくないもんね


気づいたら涙が流れていた。


よほどショックだったのが分かる。


「白崎さん?」


嘘!なんでこのタイミングで黒瀬くんが現れるの?


「もーびっくりしたじゃん、なに黒瀬くん?」


「たまたまここ通ったら見えたから」


「そうなんだ」


「それよりさ」


「どうしたの?」


「保健室」


やっぱり私だって分かったのかな?


「怪我してるから行けば? 連れてってあげる」


「お願いします」


良かった。きっと一瞬だし分からなかったんだ。



黒瀬くんに怪我の手当てをしてもらい


1人で幸せに浸っていると


「さっきの見てたでしょ?」


口は笑っているんだけど目が笑ってない。


ゾクリと寒気がするくらいだ。


「見てないよ」


「本当に?」


「うん、黒瀬くんが保健室にいたことなんて知らないし」


「白崎さんって馬鹿だね、やっぱり見てたんだ」


「あ!」


しまった墓穴をほってしまった。


「ねぇ」


「なに?」


「口止め料」


私の唇にキスをした。


「ちょっとあんた彼女いるんでしょ!」


「ああ、アレね」 


「最低」 


黒瀬くんの頬を叩いて保健室をでて行った。


なんであんなことするのよ。


付き合ったことはあるけどキスはしたことないし


黒瀬くんだしよけいに辛いよ。


「未亜怪我大丈夫?」


「真里...私...」


泣きながら保健室での出来事を話した。


「そっか辛いねでもその分良いことだってあるはずだよ!」


「ありがとう」


「もう泣くなよ! 未亜は笑顔が1番」


「本当にありがとう」


「親友なんだから気にしないで」


私と真里は教室に戻った。


もつべきものは親友だよね。


私は素晴らしい親友を持ったなって思う。



教室に戻りホームルームの準備をし始める皆


その時黒瀬くんが私に近づいてきてー。


「放課後話しある」


私はうんともダメとも言ってないのに勝手に自分の席へ行ってしまう。


これは強制って意味なんだろう。


「はぁ」


「黒瀬くんのこと頑張って」


「真里話し聞いてたの!?」


「まぁね」


「話しだけだと思うし行くよ」


「そっか」


心配する目で私を見る真里。


そこまで心配しなくてもいいのになって思う



私のテンションは下がっていく一方だ。

「急に呼び出してごめんね?」


私は黒瀬くんに強引に呼び出されたので屋上へやってきた。


「別にいいけど話しってなに?」


「分かってるでしょ」


「まぁ...大体は...」


「理解が早くて助かるよ、誰にも言わないでね」


「そんだけのために呼び出したの!? 言わないわよ」


「どうだか? 白崎さんさっき親友に話してたじゃん」


「盗み聞ぎ」
  

「まぁ、本題戻すね多分勘違いしてるからいうけどあの子俺の婚約者だから」
  

ああ...私の勘違いだ...。


勘違いもしたくなるよ。


彼女かと思ったら遠まわしな言い方に私にキスするし。   


でもまさか婚約者だなんて思わなかった。


希望は更なる絶望へと変わって行く。

「婚約者って...愛してないの...?」


「あっちは勝手に愛してるんじゃない?」


「そんなの相手に失礼じゃない!!」


「俺はそんな事思わないし...てかさ白崎さんっていつも俺のことみすぎ...」


「なっ何言ってんのよ」


そりゃ思い切り見てたけどさ


なんで本人が気付いてんの。


「気づかない方が可笑しいよね」


「.......」


黙りこんだ私をみて、顎をグイッと持ち上げた。


近すぎてドキドキしちゃうー


じゃなくて


思い切り蹴飛ばそうと思ったけど


「男の力に叶うはずないでしょ」

「離して」


「てかさ君って無駄に声でかいから分かるんだよ」


「そんな大きくないわよ」


「基本的俺寝て過ごしてるけどたまたま話を聞いちゃったし」 


「黒瀬くん自分の意見はハッキリ言うべきよ?」


「心配しなくても言ってるよ」


「あっそ」


「白崎さんこそ自分の意見言うべきだよ?」


掴んでいた私の腕をほどき彼はどこかへ行った。


私は彼のとんでもない秘密を知ったのです。


彼に婚約者がいたこと、そして彼は狼だということに。


それでも彼のことが好きな私はどうしたらいいの?