「こ、こ、これは、トレーニングで使うモノです」


松波は慌ててそれを後ろ手に隠した。

あまりの俊敏な動きに驚く俺。


松波の慌て様が尋常じゃ無い。

必死にその場を取り繕おうと、

引き攣り笑いまで浮かべて……。


何をそんなに慌てる必要があるのだろうか?



完全にパニクってる松波は、


「何か、ご用でしょうか?」


いつもの口調で訊いて来た。


俺は違和感を覚えながら、

松波の後ろ手にしているそれから

松波へと視線を移した


その時――――――。


ふと、

『とある場所』にさらなる異質な感じを覚え、

無意識に視線が固定される。



―――――何だ? あれは……??


俺が無言で見入っていると、


「京夜様?」


俺の顔色を窺って、松波が再度声を掛けて来た。


「あっ……ええぇっとぉぉ……」


ヤバッ、完全に俺パニクってる!!

いつものような素振りを見せる松波。


けれど、俺は真面な言葉が出て来ない。



だって、だって……アイツの………。