「お願い、私を助けると思って?」

「う~ん……それなら、1つ条件がある」

「条件?……なっ……に?」


嫌なが予感的中した。

朱夏の出す条件にロクなものが無い。

私はゴクリと唾を飲み込んで

彼女の言葉に耳を傾けた。


「トリーバーチの新作リーバが欲しい」

「………」


出た出た……おねだり作戦。

朱夏は『新作』に弱い。

流行りのモノをイチ早く手に入れるのにいつも必死。

まぁ、女の子なら普通、そうなのかな?

私には分からないけど。

だって、オシャレしたって外を歩けないもの。

完璧、オネエだと思われるのがオチ。

嫌な思いはこれ以上したくない。

だから私は、あえて流行は追わない主義。


「そのトリー何とかって言うブランドのリーバって何?」


そもそも、トリー何とかと言うブランドすら知らない。

それに何?リーバって。

何を売ってる会社なワケ?

それさえも知らない私は、既に『女』を捨てている。