リビングのソファに座った俺ら。
「京夜様、乾杯ですよ」
「んー」
「かんぱーい!」
「……乾杯」
何故か、コイツの音頭で乾杯させられている。
カクテルって乾杯するものだったか?
まっ、いいか。
実際、グラスを当てたりしないし。
グラスを少し掲げて『乾杯』って言うだけだし。
俺がグラスに口を付けると、
毎度の事、まだかまだかと横で凝視。
松波は俺が一口飲んだ後に、
『今日のカクテルは何か?』聞いてくる。
けれど、こうも凝視されると
一口ですらゆっくり飲めない。
俺は早々にグラスをテーブルに置いて。
「名前からでいいか?」
「はい!!」
大きな瞳をさらに大きく見開いて、
「お前のはミモザ。オレンジジュースにシャンパンを入れた」
「はい。では、京夜様のは?」
うんうんと頷きながら聞き入っている。
そして、瞳を輝かせ、
両手を合わせて俺を見る。
乙女か、コイツは……。