「シャンパンを使うという事は……キールですか?!」
「いや」
「では、また新しいカクテル?!」
「フッ……あぁ、そうだ」
俺の横でトマトを切る手を止め
瞳をキラキラさせて俺を見る。
そんなコイツを見た俺は、
内心凄くドキドキしながら
コイツの喜ぶ顔が見たくて、
毎回、違うカクテルを作ってやる。
恋人でもないのに……。
マジで俺、どうかしてるな。
茄子を乾煎りしたモノを皿に並べ
その上にスライスしたトマトとバジルを乗せ
さらにその上にチーズを乗せている。
「それ、焼くのか?」
「あっ、はい。オーブンで5分くらいです」
「ん」
オーブンの加熱スイッチを押したのを確認して
俺は出来上がったカクテルを持ってリビングへ。
すると、
何も言わなくとも酒と材料、
カクテルツールを乗せたトレイを持ち
リビングへ運ぶ……松波。
俺らはまるで夫婦だな。
阿吽の呼吸とはこういうものだろうな。
違和感が無さ過ぎるのもどうかと思う。