長く厳しい冬が終わり、桜の花の蕾が膨らむ季節になった。
地獄の受験期が終わり、明日はいよいよ入学式。
憧れの高校デビューを迎えるのだ。
私、橋本香恋(はしもとかれん)が通うのは、市立光凌(こうりょう)高校。
偏差値は65で市内トップ。
本当は偏差値70の県内トップ、湊(みなと)高校に行きたかったのだが、大学の指定校推薦をもらうためにランクを落としたのだ。
周りの人からは卑怯だと言われるが、そんなことは私は気にしてない。
私が光凌高校を選んだのは大学のためだけではないからだ。
私には好きな人がいる。彼は私にとって太陽のような存在だった。
明日もキミに会える。
そう思うだけで、幸せなのだ。
せっかくの入学式、目の下にクマができては最悪だ。
今日は、いつもより早く布団に入った。