「おっいいなぁ、それ!」

誰かが、私の本に指をさす。
話に割り込んできたのは飯塚君。

「な、なに?」
「いや、それ読みたかったんだよね」

「はっ、は!? か……貸さないよ!」


「いいよ、別に…」

なんか…少ししゅんとなる飯塚君…。

でも、まだ読んでる途中だし。




「飯塚君、この本どこが面白いの?」

茶羅は、こんな本読むような風じゃないから、知らないんだなぁ。

「えっとね、主人公は地味な生徒なんだけど、何故かある理由でモテモ……むぐむぐ」

飯塚君の口を押さえる。

コソッ
「茶羅に悪影響があったらどうしてくれる!」

だいたい、茶羅が読むとイメージが崩れるから止めてほしい。

「…チェッ」

クスッと笑う飯塚君。

うう……

いつもバカにされてるようで嫌…。


そんな空気を察した茶羅は、こう言った。

「飯塚君のこと、たくって読んでいい?」

ニコニコと笑う茶羅。
いつ見ても可愛いというより、美しい。


「はぁ?」

「いいじゃない!あだ名よ、ニックネーム♪」



いいかも…。

そう思った。



「い……飯塚君と…仲良く……な、なりたいし……
い、いいかな……?」




「別にいいけど」

えっ


「本当!?」


飯塚君と…仲良くなれるかな…

仲良くなったら、飛鳥君の情報…色々教えてくれるかなぁ……

って!!

なに考えてんだ私!?




「よろしく、たくっ」
と茶羅。