『えっ…?思ってるよ…』



「嘘つき、顔引きつってるし、奏くんが死んだ今、そんなこと言えんのかよっ…!!」


「見てこれ…」
彼が髪の毛を軽く掴んだ瞬間
髪の毛が簡単に抜け落ちた。



「抗がん剤の副作用で髪の毛も抜けてさ…でも、これで治るかもって思いながら

どうしようもない
くらい辛い治療だって我慢してきた…」


「でもさ、奏くんは
抗がん剤治療してたのに死んだ…」





「だったら、
こんな辛い治療止めて
いっそのこと死んだ方が楽だよっ…」



パチンッ





思わず幸希人を叩いてしまった。



『なんで、そんなこと言うのっ!?
まだ完全に希望が無くなったわけじゃないじゃん!!
奏くんが死んだからって決めつけんのやめなよ…!!』





「じゃあ、雪花がなんとかしてくれんのかよっ…!!」



「病気治してくれんのかよっ…!」







何も言えなかった。




「もう、病院来なくていいから…」



「帰ってくれっ…」











私は静かに幸希人の病室を去った。