「風邪、ひきますよ?」



雪がわたしの肩を濡らすのをやめた。



それは差し出された傘のおかげ。



スッと背後に人がいるのがわかる。



男の人の声だった。




わたしは振り返り、お礼を言おうと顔をゆっくりとあげてみる。




暗くてよく見えない。