わたしは優ちゃんに電話をかける。
呼び出し音がなるたびドキドキして仕方ない。
確か六回目のコールが鳴った時だった。
『もしもし…比菜ちゃん?』
「う、うん!」
わたしってば力入りすぎ。
恥ずかしくなって黙っていると、優ちゃんが笑っているのがわかった。
「…わ、笑わないで!」
『はは、ごめん、ごめん。』
「わたしに何か用でもあったの?」
『ん?ああ。…今日、音楽教室に来たでしょう?』
え?
あんなにすぐ帰ったのにバレてた?
「どうしてわかるの?」
『千広のバイクの音。千広は一人じゃ来ないから比菜ちゃんも一緒かなって。』
バイクの音でわかっちゃうのか。
さすが優ちゃん。