「千広くん!」
大学の庭を歩いていたら金髪に黒のダウンジャケットを見かけたから呼んでみる。
振り返ったのはやっぱり千広くん。
「…んだよ。」
駆け寄ると眉を寄せる千広くん。
「自分がシカトすんなって、いったんじゃん。」
チッと舌打ちすると千広くんはなんだよ、って言う。
んー、特に用はないんだけど………
「…あ、そうだ!」
「いきなりデカい声出すな!」
「優ちゃんの仕事先知ってる?」
すると、千広くんは言葉を失ったように驚いていた。
「…連れて行ってほしいの。」
「…知らない。」
千広くんは目を逸らす。
本当に知らないの?
優ちゃんが帰って来た事も知ってたのに?