「…はぁ、面倒くさいな。女はそうやってすぐ泣く。」
少し口をゆがめて笑った彼はわたしの知っている彼じゃない。
「…わたしの何がダメだった?」
気づけばすがりつくように彼の腕をわたしは掴んでいた。
幸い夜だったからか人通りはない。
「…直すよ。わたし。だから───…」
「ならヤらせてくれんの?」
体が固まった。
今、なんて?
とっさにわたしは掴んでいた彼の腕を放してしまった。
彼はそんなわたしを見てふ、っと鼻で笑った。
「そんなに自分が可愛いか?」
「…違っ、」
「重いんだよ。」
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