そうこうしてるうちにわたしの家についてしまった。



「優ちゃん、ありがとう。」



「うん。どういたしまして。」




……懐かしいな。
この別れ方。



わたしは昔に戻ったみたい。



「優ちゃん、寒いからはやく帰って?」




「比菜ちゃんが入ったらね。」




「見送られるのはキライなの。」




これは昔までと変わらない流れ。
ただ違ったのはここからさき。



「たまには見送らせてよ。キライでいいから。」



クスクス笑う優ちゃん。



馬鹿。
キライになんかなれないよ。



わたしは手を振る優ちゃんに小さく振り返し、後ろ髪を引かれる思いで家に入った。



「またね、比菜ちゃん。」



家に入る前、確かにそう聞こえた気がした。