それから、会うことはなかった。



だけどわたしは、優ちゃんを忘れた日なんて1日もなかった。




「…比菜ちゃん、綺麗になったね?いや、可愛い方かな?」




なんて笑いながらわたしの頭をくしゃくしゃっとする手は相変わらず細く長く綺麗だ。



「いつ、帰ったの?」


「二日前。」


「…なんで教えてくれなかったの?」


「会うような気がしたから。」




優ちゃんの馬鹿。
教えてくれたらすぐ会いに言ったのに。




優ちゃんのクセだ。
肝心な事はいつも教えてくれない。





「…優ちゃんは変わらないね?」



「…そう?」



「うん。」



白い息がわかるような距離は、一つの傘に二人で入っているから。