「…帰ろう?」 優ちゃんは言う。 納得なんて、できない。 何も言わないのは、そんなのはずるい。 「…わたしのせいなんでしょ、」 「違うよ。」 「じゃあ、梨子さんはどうして?どうしてわたしのせいだっていうの?」 わたしはもどかしくて仕方ない。 優ちゃんは唇を噛み締めながらピアノの前に座る。 鍵盤にのばした手はあの頃と変わらずに細く長くキレイだ。 優ちゃんはふぅ、と息をはき、指を動かす。