「その怪我が治ったら、退院するんでしょ?・・・もうすぐだよね。」
「・・・せやな。でも、輝樹やってもうすぐなんやろ?」
きっと、このときのうちのこの軽薄な言動が、あんな事件を起こしてもうたんや。
「・・・僕はずっとそうなんだ。」
「ずっと、そう?」
「いつ退院できるの?って聞いたら、もうすぐだよ、って。でも、そのもうすぐがまだ来ないんだ・・・。」
下を俯いて、一つ一つの言葉を絞るかのように呟いていく。
「僕は、早く退院したい。」
「・・・せやな。もう少し頑張ろうや?うちも、まだおるんやし。」
「・・・うん。」
寂しく笑うその顔は、さっきの笑顔とは違うもの。
こんな笑顔もあるんやね・・・。