他にはと言えば・・・もう、何もない。
「・・・殺風景て、こういうことなんやろか。」
そっと呟いたその言葉さえ、この静かな空間でスッと消えていく。
こんなところに、輝樹は一人でいてる。
親も、友達もいない。
看護師さんと先生、周りには病気やけがをした人たち。
そんな環境の中で、今まで過ごしてきたんや。
車椅子やったし、きっと、自由なことっていうんが無いに等しいんやろな。
『寂しいところでしょうね。』
佐藤さんの言葉は、うちの胸をキュッと締めつけた。
うちはおそらくすぐに退院する。
そしたら、輝樹はまた一人になるんやろか。