「笑美は、笑美なんやで?山本恵美は、パパの愛した人やったけど、過去形や。あ、でもそんなこと言うたら怒られるかな。」
苦笑いしながら「天国の笑美さん、ごめんな」て言うパパは、さらにうちを強く抱きしめる。
「パパはな?ママと、笑美のことが、今は一番愛してんねんで?」
「あらっ」
ママも照れながら「私もよ?」とうちに抱きつく。
うちは・・・パパとママの娘なんや。
「笑美が事故に遭うたとき、ホンマに焦った。また俺は大事なもんをなくすところやったって。」
「あ、せやから・・・あのとき病院で、怒ってくれたん?」
「当たり前や!もう、苦しい思いは嫌やからな?」
全部謎が解けた・・・。
どこか遠いところを見てるようなパパ。
苦しい思いをさせてもうたんや、うちが。
・・・そうやったんや。