「・・・い、今すぐには」
「わかってる。」
苦しそうに、でも優しく笑ってくれる冬真。
悲しい色のその瞳に、うちを写しながら、首の後ろに手をやる。
「れーくんには、あげたくないんだけどな。」
そんな仕草で紛らわせようとしても、無理して笑ろてることは隠しきれてへん。
今まで一緒にいてる時間は多かったのに、冬真の気持ちには全然気づかへんかった。
少し申し訳なく思えてくる。
「れーくんなら、ずっと前に帰ってる。」
「えっ?ホンマに!?」
「お昼休みが終わるギリギリ前に、ソレを笑美の靴箱に入れにいったから。俺も同伴でっ。」
そうやったんや。
てことは、たとえさっきあのまま走ってたとしても、れーくんは家にいてたんや。