「笑美・・・」
「なに?」
問題を解いてる途中、隣からうちの耳元で冬真が静かに呟いた。
「れーくん、よく考えると、鬼畜だよね。」
「ちょっ、冬真っ!」
この距離やし、本人に聞こえてるかもしれへん、と焦った。
でもその言葉は、どうやられーくんには届いてへんらしい。
「・・・鬼畜、か。」
うちも静かに「そうなんかな」と続けて言おうとしたとき「今は現国の時間じゃねぇよ」とつっこまれた。
もちろん、れーくんに。
うちと冬真は変な汗をかきながら、お互い見合って『地獄耳』と口パクで言って、それぞれのノートの問題に戻った。