「私のことも、前は抱いてくださってたのに!」

 その言葉に、一瞬時が停まった。

 流れる涙を拭うことも忘れ、私はマッキーを見た。

 マッキーは、花梨さんの肩を掴む手を止めたまま、顔を強張らせている。

 マッキーの表情から、花梨さんの言葉が本当だってことが伝わってきた。

 この場から、逃げ出したい。

 でも、裸の私にそんなことできるわけもなく。

「あの…着替えたいから、出て行ってもらっていいですか…?」

 そう問いかけた私の声は、子供でも一瞬で殺せるくらいに弱々しかったに違いない。

 マッキーは少し悩んだ顔をしてから、花梨さんを連れて部屋を出て行った。

 私はベッドから出て、服を着替えた。着替えながらも、花梨さんの言葉が脳裏から離れなかった。

 そりゃ、マッキーと花梨さんはもともと婚約者だったわけで。

 そんな関係持ってたって不思議はない。