さすがのマッキーも、だるそうに起き上がる。

 それから下着とズボンだけを履いて、ドアの方へ歩いていく。

「オマエは布団から絶対に出るな。ほかのヤツに体見せないようにしろ」

 それだけ言って、マッキーは勢いよくドアを開けた。

「きゃっ!」

 ドアの向こうから、甲高い女の子の声。

「博斗様っ!」

 その呼び方に、違和感を覚えた。ここの係員さんなら、「真木様」って呼ぶだろうし、第一あんなに乱暴にドアを叩かない。

 不審に思っていながら、ドアを見ると、マッキーの少し日に焼けた背中に白い腕が回されていた。

 まさか――。嫌な予感が脳裏に浮かぶ。

「…花梨…」

 マッキーが呟いた。

 花梨。それは、マッキーの婚約者の名前。予感的中…。