のどが渇いたのか、理香さんは麦茶を少し口に含み、ゆっくり飲み干しました。
「そしたら、ハブ。
彼女はすぐ文芸部をやめて、今は他の部活で楽しく活動してるみたい」
藤原君の言葉が蘇ります。
『ただの嫉妬』
そんな、それだけのことでハブとかって。
ううん、どんな理由があろうとも。
人を傷つける権利は、誰にもないはずです。
「……言いません。誰にも。大丈夫です」
私ははっきりと、理香さんに宣言しました。
すると理香さんは首を横に振りました。
「もう、いいよ」
「え?」
「もう、市川さんにはついていけない。
あの人の機嫌をとるのに、疲れちゃった。
私、美術部やめるつもりだから」