理香さんはため息をつきました。
「そう。やっぱり」
「あの……つかぬことをお聞きしますが、彼は理香さんの……」
そこで言葉を切ると、理香さんは小さくうなずきます。
「うん。彼氏」
か、かれしー!!
なんて素敵な響き!!
「おお、お似合いでした!すごく!優しそうな人ですね!」
少し興奮してしまうと、理香さんはきょとんとその可愛い目を丸くしました。
「それだけ?」
「えっ?」
「美術部の皆に言いふらしてやる、とか言わないの?」
「……秘密なんですか?」
「うん」
言いふらしてやる、なんて思いもつきませんでした。