……カラン、と麦茶の中の氷が溶ける音がしました。


ボクは理香さんのお部屋で、ワラビ餅をごちそうになっています。


どちらが口を開くでもなく、非常に気まずい雰囲気の中、

ボクたちは理香さんのお母さんが洗ってくれた靴下と靴が乾くのを待っていました。


夏だからすぐ乾くと、おばさんに無理に引き止められたのです。


スニーカーでよかった。


革靴だったら、非常に悲惨でした。



「あの、斉藤さん」



ついに理香さんが口を開きます。


ボクは背筋を正し、咀嚼中であったワラビ餅を飲み込みました。



「……さっきの、見てた?」


「さっきの、とは」


「男の子、いたでしょ」


「……すみません、見ました」



ボクは素直に答えます。