「こらっ、ペロちゃん!!」



後方から、ふとったオバサンが駆け寄ってきます。


はあはあ言いながら、ボクの足元のわんこ……チワワを抱き上げました。



「ごめんねー、ちょっとうっかりしたらリードが離れちゃって!!」



嘘をつけ……


離れちゃったではない!!離してしまったんだろうがあ!!


その証拠に、その片手に握られたワラビ餅のパックはなんなんだ!!


遠くで、ワラビ餅屋のトラックが「冷た~くて、おいし~いよ」と言っているのが聞こえました。



「いえ、大丈夫です……」



くそう、内気な自分が呪わしい。


結局反論することなく、ボクはその場を立ち去ろうとしました。



「ごめんなさいね!!

うち、すぐそこだから足を洗っていきなさいよ!!」


「いえ、大丈夫ですから……あまり大声は……」