「あれ、何だレジだけかよ。」

部室から出てきた悠が俺を見て言った。

「結愛と一緒にいると思ったんだけど……」
「あぁ、ミズキ先輩のところに叶多と一緒に行ったとこ。」
「そっか、颯汰は?」
「今日は妹の迎えに行くから先に帰るって走って帰った。」
「妹いるのか‼︎」
「颯汰に負けないくらい元気で明るい子だよ。」

想像できるなー、と言って悠は笑った。

……やっぱりそっくりだな、笑い方。

「で、結愛からどこまで聞いたわけ?父さんと母さんのこと。」
「え……」
「結愛が言ってたからさ、『蓮次くんに夢見て泣いてたの、違うって嘘ついちゃったんだよね…』って。だから今頃話してると思ってさ。まぁ、双子の直感みたいなもん?」

驚いて何も言えない俺に、悠はハハッと笑って近くのフェンスに寄りかかった。