「だからあたしは自然とバスケに興味を持った。でも体が弱かったし、喘息持ちだったからやりたくてもできなくて…悠くんは泣き虫だっしバスケに興味を持つのは遅かったけど、お父さんもお母さんもずっとバスケットボールをあたしと悠くんに触らせてたよ。『まずはボールに触れることからだ。』って言って。」

結愛はそう言って俺に向き直った。

さっきまでとは違って、嬉しそうに笑っていた。

「あたしと悠くんのバスケ馬鹿は親譲りだよ。だって5歳の誕生日プレゼントに、普通バスケットボールを選ぶ?」
「……選ばないな、普通なら。」
「でしょ?あたし達の誕生日の1週間前に事故にあって死んじゃったけど……形見がお父さん愛用のバスケットボールと、あたしと悠くんの新しいバスケットボールの計3つって、面白いよね。」
「……確かに。」
「あ、結愛ー‼︎ミズキ先輩が呼んでたぞー‼︎」
「あ、わかったー‼︎ありがとね、叶多くん。」

ちょっと行ってくるねと言って、結愛は走って行った。