「…なんでそんなご機嫌なんだ、お前は?」
「ご機嫌にもなるよー!奈霧に会えたんだから!」

素直に手をあげ、明乎は奈霧の腕にからみついてきた。

「明乎はなんの用だ?」
「雛ちゃんと莉津に露天で焼き栗を買ったんで、今から届けるところ!奈霧はー?」
「暇だったから、出てみたが、祭はどこでも変わらないな」
「奈霧は外に結構いたもんね!…いいなあ、あたしも奈霧と外のお祭り行きたいなあ」

明乎は生まれてからずっとこの宮の中にいるため外のお祭りと比較することができない。見る間に落ち込んでいく明乎。恐らく、過去の奈霧の女性関係について考えているんだろう。弁解のように明乎に声をかける。

「外にいたのは十五までだから、そんな色っぽい思い出はないよ。最後に一緒に行ったのも妹だしな」

すると、あからさまにほっとした顔をする。わかりやすい明乎はかわいらしく感じて口元がゆるむのをかんじた。

「妹いるんだ?」
「ああ、歳が離れていて…」
「今は外?」
「…ずっと遠いところだ…ってなんで、次はニヤニヤしてるんだ」