夜、游は鬱蒼と茂った草木をかきわける。天神楽の宮の奥の森は誰も近づかない。いや、近づく者はいるかもしれない、清浄な空気の土地だ、好ましく思う者もいるだろう。
しかし、游が今居るのは、注連縄(しめなわ)がかかり、本来入ることは禁止されている場所だ。
ー確か、このあたり…
「あったわ…」
隠されるように立てられた、仏の居ない祠。寂れた祠に游は手を合わせる。そして、目を瞑り、游はその中へ入る。再び目を開くと、目の前には注連縄のかかった森はない。
「通れたみたいね」
森の中に隠されるようにあるあの祠は自分の望む外へと繋がる唯一の通路だ。その祠を立てたものはもうこの世にはいない。
ーまだ、あなたが造ったあれは効力を発揮するようよ?
造った人間が死んだ後も効力を持つということからその人間の力の強さを再確認する。桁違いの力を彼女は持っていた。
祠のあるあの土地に注連縄がかかるのは、あそこが天神楽唯一の黙認の地だからだ。あの場所だけは、天神楽は干渉することは出来ない。その事実を知るものは少ない。崇めるくせに、天神楽を締め出す場所を作る、そんな事から天神楽がただの救いの神ではないことを察することが出来る。
しかし、游が今居るのは、注連縄(しめなわ)がかかり、本来入ることは禁止されている場所だ。
ー確か、このあたり…
「あったわ…」
隠されるように立てられた、仏の居ない祠。寂れた祠に游は手を合わせる。そして、目を瞑り、游はその中へ入る。再び目を開くと、目の前には注連縄のかかった森はない。
「通れたみたいね」
森の中に隠されるようにあるあの祠は自分の望む外へと繋がる唯一の通路だ。その祠を立てたものはもうこの世にはいない。
ーまだ、あなたが造ったあれは効力を発揮するようよ?
造った人間が死んだ後も効力を持つということからその人間の力の強さを再確認する。桁違いの力を彼女は持っていた。
祠のあるあの土地に注連縄がかかるのは、あそこが天神楽唯一の黙認の地だからだ。あの場所だけは、天神楽は干渉することは出来ない。その事実を知るものは少ない。崇めるくせに、天神楽を締め出す場所を作る、そんな事から天神楽がただの救いの神ではないことを察することが出来る。