「そうね、一つ言うとするならば、あなたは常人と違ってしまってる。何から何まで。小さな違和感を感じる者もいれば甘美な果実のように、好ましいものを感じる者もいるでしょう。だから、この宮はあなたを守るためのものでもあるということを、忘れないでください。」
「はい。確かに、外では沚依さんと仰る村長の方から同じ言葉を貰いました」
「…沚依?」

表情の乏しい、游先生は眉をあげた。不思議に思いながら、雛生は先生を見つめ返し、尋ねた。

「ご存知ですか?」
「…いえ、…そう…昔馴染みに、そんな名前がいた気がしただけです。…あなたは知らなくていいことよ」

舞の練習を始めるために游先生はいそいそと準備をする。いつもとは違う、言い切らない口調に疑問を覚えながら雛生は游先生の鳴らす楽の音に合わせ舞った。

ー…