その日からあたしはノリを探した。


あたしとノリが初めて会った場所、あたしとノリが初めてデートした場所、あたしとノリが別れた場所…。


走り回って汗はびっしょり、ミュールはぼろぼろ、髪はぐしゃぐしゃ、化粧も落ちちゃってる…。

街の人はきっと不憫そうに見てるだろうね。


でもノリに会って伝えなきゃいけないことがある、どうしても伝えなきゃ…!!


ノリ、あなただからこそ伝えたいって思ってるよ…


伝えたところで分かってもらえないかもしれない、見つけても伝える前にまたあたしの前から消えてしまうかもしれない…

だけど、そうかもしれないけど、伝えなきゃ前に進めない。


ノリと出会えた事にはきっと意味があると思うんだ。


ノリと別れた時はノリと出会わなければよかったとさえ思ったこともあったけど、今は違う…。


きっと神様が引き合わせてくれたんだって思う…

これと言って根拠はないけどあたしの中の何かが今のあたしを動かしてる。


…!!


ふと目の前に飛び込んできた一際目をひく人物…

間違いない、彼だ、ノリだ…。


あたしにはノリの周りだけ空気さえ違って見えた…。


「ノリ…!!!!」