― 翌日

「っ!なぎ!大丈夫なの?」
「うん、心配かけちゃって、ごめんね。」
「怪我は?骨とか大丈夫なの?!」
「大袈裟だって、小さな擦り傷だけで済んだから大丈夫。」
「よか、っ良かったぁ、」

学校に行くと、皆が心配してくれていた。
何も変わらない今日。
ただ、一つ違う事。
それは、--


「んあ、蒼空おはよー」
「…ん、はよ。」
「あ、蒼空くん!おはよ!」
「ん、」

(…この前、の)
彼はクラスも一緒だったらしい。
色素の薄い癖っ毛は、印象深かったため覚えていた。
「…、なぎ、」
「!、…え、っと。」
「…っ」
「蒼空くん、おはよう。」
「!…っはよ、」

今、彼、凄く哀しげな顔を、した?
…気のせいかな。
そんな事を思っていると、クラスの友人が目をぱちくりさせているのに気付く。
「…?どうしたの?」
「え?どうした、って何が?」
「だって、蒼空くん、って」
「え、違った?」
「そうじゃなくて…!何時もは「うるせェよ」

友人が何かを言いかけた瞬間、蒼空くんが声を発した。
「渚、何でもないから。気にするなよ。」
「え、あ…うん。」


彼はそれだけ私に伝えると、教室を出ていってしまった。


「ねぇ、あの二人何があったの?」
「あー…、蒼空にはあんま、言うなって言われてんだけど、実はな。」
「…?」
「渚、あの事故で記憶が一部無いんだと。蒼空のこと、何も覚えてないって。」
「!、そんな、…っだから、蒼空くん、って?」
「そ。蒼空も平気なわけねぇけど。自分が言わなければ渚はこのまま生活できるからって。」


(…あ、飛行機雲…だ。)
私は何も知らないまま過ごしていた。
ただ、窓の向こうに広がる綺麗な青空に
何処か懐かしさを感じた。