「そうだ雪川さん、これ」


水原くんはわたしの前にカフェオレを置いた。


「え、これ…」

「俺が練習で作ったやつだから、よかったら飲んで。
俺そろそろ上がりの時間だから、着替えてくる。待ってて」


そう言って水原くんは行ってしまった。


「水原くんがここでバイトしてるって聞
いたから、まず紗奈の話聞いてから、あとで水原くん交えて話そうと思ってここにしたんだよね」

「そうだったんだ……」

「にしても水原のやつ、ウェイター似合ってたな」



西野くんが笑いながら言った。

理香ちゃんが、確かに、と笑う。



たしかに、水原くん、ウェイターの格好似合っててカッコよかったな。

あれで笑顔で接客されたら、ドキッとしちゃいそう。

もっと見ておけばよかった……。



「あんた水原くんのウェイター姿ちゃんと見とけばよかったって後悔してるでしょー」


理香ちゃんがひじでわたしを小突いた。

西野くんに笑われる。


「ち、ちがうよっ!!」



照れ隠しにカフェオレを一口飲むと、いままで飲んだどのカフェオレよりもおいしかった。