ー・・・。


その日、オレはバイトから帰る途中だった。


「涼ー!」


ん??


オレは名前を呼ばれて声のしたほうを向いた。


そこにはオレの彼女。


千夏がいた。


「おぅ!」


そう言って千夏に手を振る。


「ちょっと待ってて!ぜったいそこから動かないでよ!」


「は??…わかった。」


なにするつもりだ?


…。


「ばっ…!!」


バカだろアイツ!


千夏は横断歩道もないところを走って渡ろうとしている。


「あぶねーから早くもどれ!!千夏!!!」


「大丈夫~♪今そっち行くからさ。」


千夏はそう言ってオレの言うことを聞かずにこっちに走ってくる。


だからあぶねーって!


オレは車が来ないか左右を見た。


っ!!!


右から車が来ていた。


あと2、30秒もすれば千夏に…。


ゾッとした。


背筋が凍って少し、コンマ1秒くらい動けなかった。


そしてオレは走り出す。


ほかに車が来ているか確認もせずに。


「千夏!!!」


オレは叫んで千夏に手を伸ばした。


「涼?どうしたの?」


キョトンとしてオレを見つめる千夏。


「立ち止まってないでこっち来い!車来てるぞ!」


言ったときにはもうさっきの車は10mくらいまで来ていた。


「っ千夏!」


オレは千夏を抱きしめて、千夏がさっきいた歩道へ飛び込む。


オレはそのとき自分がどうなっているのか、千夏がどうしているのかわからなかった。