高校に行くまでに何人のヤツと会っただろう。


たぶんかぞえきれねぇくらいいたと思う。


校門の前まで来て、1度オレは立ち止まる。


そして校舎を見つめた。


千夏がいたころを思い出しながら。


1年の夏。


千夏を好きになった。


秋。


千夏とよくしゃべるようになった。


冬。


放課後、教室で千夏と2人きりになった。


オレはこの時を逃したら、もうこの想い言えないと思い、千夏に告った。


千夏は真っ赤になって「うん。…ありがとぉ。よろしくね、涼くん。」て言った。


夕日に照らされて千夏の顔は余計に赤く見えた。


そして、なぜか泣いてしまった。


オレはそんな千夏が愛しくなって抱きしめた。


もうこのまま離したくないと思った。


千夏がどこにもいってしまわないように、千夏の小さな手を強く握っていようと決めた。


2年の秋。


オレはその小さな手を離してしまった。


あの日誓ったのに。