「涼!!これ以上こっちにきちゃダメ!!!」


と千夏が声を思いっきり張り上げて叫んだ。



千夏のこんな声聞いたこと無かったから正直ビビった。


その証拠にオレは1度立ち止まってしまった。


「でも…千夏、大丈夫かよ！？オレはお前が心配で「あたしは大丈夫だから！お願いだからこれ以上こっちに来ないで…。お願ぃ…。」


千夏はオレの言葉をさえぎって言った。


最初は強がっていたのか声が大きかった。


でもだんだん声が小さくなって、最後はすごく弱々しい声変わっていた。


しかも号泣してる。


千夏がなんでそんなにもオレが自分のほうへ来るのを泣いて嫌がったか、オレはわからなかった。


なんでだ？！


なんで千夏はあんなに泣いて嫌がるんだ！？


せっかく会えたんだぞ？


自分の彼女が泣いてるんだ。


抱きしめたくなるだろ？


「千夏っ！なんでダメなんだよ？！」


オレは千夏に聞いた。


いくら考えるよりも本人に聞いたほうが早い。


そう思ったから。


でも聞いちゃいけなかったんだ。


もっと自分で考えればよかった。


千夏の言葉の意味をわかってやればよかった。


「これ以上っ、こっち、に、来たら、涼が、し、死んじゃぅっ、からぁぁ…。」


千夏はそう言って泣いた。


声を上げて。


何度も目をこすって涙をふいてた。


「ごめん…。」


それしか言えなかった。


そんな自分を情けないと思った。


なにもしてやれなくて悔しかった。


これ以上いけば千夏を抱きしめられる。


…でも死ぬ…。


千夏に触れるなら、ずっと一緒にいられるなら別に死んでもいいとさえ思った。


少しオレは戸惑った。


オレは別に千夏と一緒にいるためなら死んでもいいと思った。
…けど、千夏はたぶん違う。


オレに自分の分まで生きて欲しいと思ったから、さっき声を張り上げてオレを止めてくれたんだ。


ただの勘だけど、そう思う。