そんな高校二年のあたし、佐々木結衣はサッカーをやり続ける理由があった。


それはサッカー好きのお父さんのせい。
べつにサッカーは嫌いじゃない。
サッカーは好きだ。

やっていて嫌なことを全部忘れられるから。お父さんも同じことを思っていた。
そして小さい頃からお父さんにサッカーの技術を叩き込まれてすくすく成長してたあたしだったけど…

ある日お父さんは交通事故で死んでしまった。


その時あたしは中学三年生で受験生でもあってストレスや不安が溜まってた時期で、よくお父さんに八つ当たりをしてた。

サッカーだってやらなくなった。



そんなあたしをお父さんはどう思ったんだろ。


お父さんが死んでしまってつくづく思った。サッカーがお父さんの生きがいで、あたしもサッカーの生きがいだってこと。


サッカーがないあたしなんてあたしじゃない。


サッカーをやろう。


そうやって考えたり決意をしたのも少し時間が遅かっただけ。


だからあたしは高校生活での時間を大事にするつもり。


校舎から少し離れるとグラウンドがあってその近くに部室がある。

部室に入ると部員達の着替えが始まっていた。


「はいるよー」


と声をかけてあたしは着替えてる部員達なんて目もやらずテキパキと作業をする。

部員達はあたしを完全に男扱いしてるからまるで男同士の挨拶のような軽い挨拶。

「ちーす」「おーう」
などの返事。



でも小春が入ってきたら、

「小春ちゃん!!どうもです!!」
と、いつものやる気のない部員らが笑顔で挨拶してる。

(どういうことだし!!)


沢村小春ちゃんは同じく二年でとてもモテる可愛い女の子。
そんな小春ちゃんに部員はメロメロ。

毎日ため息ばかり。