心配、してくれてたんだ。


嬉しい。


颯汰は隣の家に住んでて会おうと思えばすぐ会えるわけだけど、あたしは颯汰の顔を見れずにいて…

颯汰はきっと一人であたしの家に行くのはいけないだろうって気を利かせてくれたに違いない。


だからもっとも親しい莉緒を連れて心配してきてくれたんだ。


颯汰のばか…



そういう優しい所にあたしは弱いんだ。
颯汰のそういう所が好きなんだよ。




素直にあたしは嬉しかった。
こうして心配して来てくれたことに。


だからあたしは自分に素直になって、颯汰に向けて頭を下げた。


「颯汰、ごめん。部活行かなくて。きっと部員のみんなにも迷惑かけたと思う。次からはちゃんと行くね。」


そして頭をあげあたしは颯汰を見ると、颯汰はいきなりあたしが言うとは思わなかったんだろう。びっくりして目をまん丸とさせていた。


「そして、心配して家に来てくれてありがとう。気を使ってメールとかしなかったんだよね?」


「あ、あぁ…」



「あ…ありがと…颯汰」

お礼を言うのがこんなにも緊張するものだったんだろうか。

恥ずかしくて俯いたあたしは颯汰の表情を見れなかった。
でも颯汰は笑ってあたしの頭を撫でてくれた。


「結衣らしくねーな!」

クシャクシャッと髪を掻き回しあたしの髪をぐしゃぐしゃにして満足そうに笑う颯汰を見ると少し颯汰の顔は赤く染まっていた気がした。




そんなあたしと颯汰を黙って見ていた莉緒と弟は

「他でやってくれない?」

と言って笑った。




颯汰、ありがとう。
莉緒、ありがとう。



なんだか気持ちが軽くなった気がする。


ただ変わらないモヤモヤとした気分は昨日の帰りに見たあの光景…。




颯汰と小春ちゃんは確かに一緒に帰ったのを見たんだ。

仲良さそうに二人は歩いて行ったんだ。



それは誰がみても付き合っているような感じで。



颯汰に聞くのが怖い。

本当に付き合っていたら…?

あたしは笑って喜んであげられるの?