校内放送が鳴った。下校時間を過ぎている為早く校舎から出なさいということだった。


あたしはハッとして慌てて教室を出た。
玄関に向かっている最中、廊下の窓にたまたま人が見えた。

それは、なんと颯汰だった。

校門で壁にもたれて人を待っている様子。



「もしかして…」




あたしを待っているんじゃ…?


昨日のことがあってきっと颯汰はあたしを心配してくれている。今日の朝も午後も部活に出なかったんだから余計心配させてしまったんだ。


謝ろう颯汰に。



慌てて玄関まで走り靴を履き替えてあたしは校門まで走った。


颯汰はいて、

「そっ…」


あたしが颯汰を呼ぼうとしたとき颯汰の目の前に一人の女の子が現れた。



え…?


それは小春ちゃんだった。



二人は一言二言話してそのまま歩き出してしまった。


どうして??


あたしを待ってたんじゃなかったんだ…。



颯汰は小春ちゃんと一緒に帰っている。
しかも笑顔で。




もしかして小春ちゃん、颯汰に告白したの?

そして颯汰はOKしたのかな。


だって小春ちゃん可愛いんだし、OKしなくもないはずだもんね…









胸が苦しかった。



颯汰を呼ぼうとした口は開きかけて、閉じた。

なんだ、颯汰彼女できたのか…



あたしが颯汰の隣にいる意味…



もうないんだ……。







急に泣きたくなってじわりと涙が滲む。
慌ててブレザーの袖で拭って、あたしは颯汰と小春ちゃんが帰った道とは逆の道へと走った。




もう何が何だか分からなくて。
めちゃくちゃになった。



涙がいっぱい溢れてきた。
胸が苦しいんだ。


今まで颯汰の隣にいたあたしはもう…


考えるだけで悲しくなってきて、走るスピードを上げた。


遠回りの道を走って走って、家に帰った。


部屋に入るなりあたしはついに声を張り上げて大泣きした。





辛かった。

もう訳がわからないよ。








あたしはようやく気づいたこの気持ちを受け入れていいのか分からなくて余計モヤモヤとする。


これが莉緒が言ってたヤキモチなんだ。
颯汰を小春ちゃんにとられちゃう悔しさ…。



ようやく自分の気持ちに気づいた。











あたしは颯汰のことが…