「だって、自転車置いてくるんでしょ」

「だから、待ってろよ」

「なんで僕が」


目を丸くして驚くあいつ。驚いたのはこっちだ。

だってあいつは勝手に迎えに来て、僕をバカにして、荷物扱いする。どれも僕の頼んだことじゃない。それなのに、何、見返り求めてんの。

あいつは、驚いたまま唇を尖らせて、不満そうな顔になって、「じゃあ、知らん!」とか言って、自転車置き場に走っていった。

何が、知らんだ。こっちが、知らんわ。僕に何を求めてるんだか。

気にせず歩き出した。昇降口の手前で、なんとなく振り返ってみた。あいつと目が合った。あいつは慌てて目を逸らした。なんだ、まだ自転車片付けてない。全く、なんだってんだ。