「いいから、早く乗れよ」
荷台を叩いて僕を呼ぶ。僕は犬か。それとも荷台だから、やっぱり荷物?
とにかく、良い気分がしない。こいつは毎日僕を迎えに来て、バカにして、荷物扱いする。それって全然良いことじゃない。むしろ悪い事?悪夢?厄?
でも僕は荷物になる。何故って、そうすると歩かないでも学校に着くから。それって素敵でしょ?僕はなんにもしないで、荷物でいればいいの。
僕を乗せた自転車のペダルを踏み込もうとして、こいつは、うっ、と唸った。自転車が後退する。
「おいおい、後ろに下がってるよ」
「お前、太った……?」
「んまっ!失礼しちゃうわ」
早く、早くと急かすと、僕を睨んでからようやく発車進行。なんだ、ちゃんと進むじゃん。本当は僕1キロ増えてたんだけど。