「失礼します」
ゆっくりと保健室のドアを開ける。
この時間は誰もいなかったような気がするなぁ…………。
あの日を境にあたしは『遊ぶ』ようになった。
紘紀もその内の1人と化している。
実紗や龍雅くんも毎日、あたしと顔を合わせると声をかけてくる。
『こんなことしちゃダメだよ』
『もっと自分の気持ちに素直にならなくちゃ』
2人には何度も同じことを言われた。
だけど、あたしは自分の気持ちを誤魔化すことしかできない。
もう『あの人』の事は忘れなくちゃいけないのは分かってるから……。
あれから……………千里がどうなったかは知らない。
ただ、みんなの口から良く聞くのは。
「女遊びを止めた…………か…………。」
あたしと別れた後は女遊びをピタリッと止めたらしい。
そして、学校にもまともに来てないらしい。
でも、もうあたしには何も出来ない。
あたしはそっとベッドの中に入ると瞳を閉じた。