✰紘紀side✰





「はぁ…………俺は何してんだよっ………。」





……………何で告白もしてねぇのにキスなんてしちまうんだよ………。





夕希、絶対に何で俺がキスしたのか分かってねぇよな…………。





「夕希、好きだよ。」





夕希が近くに居なければ簡単に言える言葉。





だけど、それじゃ意味はなくて…………。





言おうとしても結局は言えず終い…………。





「言わなきゃ分かんねぇだろうが……………。」





いつだって後悔しか残らない。





あの高校入試の日もそうだった。





あの時に、連絡先でも聞いてれば少しだけ進展もあったかもしれない。





なのに、俺は緊張し過ぎて何も出来なくて。





夕希が俺と同じ高校に合格したのを知ったのは高校入試が終わってから大分経ってからだった。






夕希をを見付けたのは入学式のときに壇上に上がっていたから。





夕希は何でも出来るんだ。





勉強も運動も何もかもが全て。





だけど、その才能を疑ってしまうほどの性格の持ち主。





だから、誰だって本当だったら夕希を狙ってる。




夕希が他の男に呼び出しをされてるのはよく知っていた。




その度に俺はその男達に嫉妬の眼差しと何とも言えない感情を睨みつけることで威嚇していた。






「好きだって言えたらどんな風に変わるかな………。」





俺はただ、流れる雲を見つめながらそんな非現実的な事を考えていた。







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