「ゴメン、いきなりして。」





紘紀の手はあたしから離れて……………。






一気にクリアになった視界。





そこには、少しだけ顔を赤くさせた紘紀の姿があって…………。





「俺、ふざけてこんな事しないから。」





紘紀の表情は真剣で、笑う事なんか出来るような雰囲気ではなかった。





「それって…………どういう意味??」




ふざけてしないって何が??




あたしは紘紀をじっと見つめる。





「そのままの意味だよ。」





紘紀はあたしから瞳を逸らすと、身体をパッと離した。





「紘紀…………。」





「そろそろ、家から出るか??」





「えっ…………あっ………うん。」





「じゃあ、俺は先に出てるからあとから鍵閉めて出てきてくれよ??」





紘紀はあたしと一度も目を合わせることなく、ガラステーブルに鍵を置いて行くと足早に外へと出た。





あたしは1人残された部屋で……………。





「どうしてキスなんかしたの??ちゃんと言ってくれなきゃ全て分かんないのに………。これじゃ、千里の時と同じだよ…………。」





あたしは下唇をキュッと噛むと、鍵と必要なものを持って紘紀の所へと言った。