「あたしはっ…………。」






あたしは…………千里を……………。





「もう好きじゃないよっ……………好きじゃない。」





もう好きだと思ってはいけない。





だって辛くなるのは自分だから。





もう、あたしは良いんだ。





恋なんてものしない。





何も感じないように生きれば良い。






「もう、良いんだよ。」






「夕希、嘘は吐くなよ。」





「嘘じゃないよ。」





「じゃあ、なんで泣いてんだよ!!」





冷たくなった指先で頬に触れた。





「泣いてる??」





「まだ…………榊原が好きなんだろ??」





好きじゃないよ??




だってもう、何もかもが疲れちゃったんだよ??





他の子と手を繋いでる千里。





あたしじゃない子を抱き締める千里。





あたしがすぐ側に居るのにキスをしてその子を抱いてしまう千里。





もう、これ以上そんな姿を見ていて笑っていられるほど………。





あたしは強くなんかない。





あたしだって千里と手を繋ぎたかった。





優しく抱き締めてもらいたかった。





キスだって他の子にはしてほしくなかった。





あたしはいつだって『千里』を求めてたのに、千里は違った。





『あたし』じゃない別の子だったんだ。